肩の日焼けが見るたび少しずつ薄くなっていく。
一人旅の行く先をハワイに決めたのは、Maryからヨガを学びたいと思ったからなのだけれど、もう一つカウアイ島に行ってみたいという願いもあったからだ。
ヨガを学び伝え始めた約15年ほど前に友人であり私のキーパーソンである女性をきっかけに知った島の名前、”カウアイ島”
ハワイになんて全然興味がなかったのだけれど、なぜだか、しかもカウアイ島のことなんて場所すらも知らないのに、ずうっと行ってみたいと思っていた場所。
実はコロナ禍終盤にMr.monkと”なんの制限もなくてどこ行ってもいいよって言われたどこにする?”という夢しかない話を時々していて。2人の中で挙がっていたのが「タスマニア島」と「カウアイ島」だった。
この話から数日後、Mr.monkがタスマニア行きを引き寄せ、タスマニアから帰国後すぐにカウアイ行きの話まで引き寄せてしまったのだから自分でも驚いた。
さて。
オアフ島へ行くことは決まり、宿泊先もエアチケットも早々と押さえていたのだが、カウアイへ行くかもしれない2泊は全くのノープランでオアフ入りした。
決めていかないことの方が良いように感じていたからだ。
Maryにも初日にカウアイに行ってみたいんだよねって話してはいたが、円安の影響もあり、カウアイにステイすることはかなり高額、しかも手頃なホテルはなかなか見つからない、家族の元へ早く戻った方がよい(ような気がする)、やっぱりカウアイに行かなくてもいいんじゃないか、、、とまで思ったその矢先にMaryから紹介されたDavid。
連絡とってみるとOrganic farmの中に持っているプライベートコテージを貸してくださるとのこと。これは!と全て流れに任せてカウアイ島行きを進めた。
こうなってくると何が起こってもワクワクする。途中のハプニングも、飛行機の遅延すらも。
カウアイ島へはオアフ島から40分。
空港に降り立った時の感覚は、オアフより静かで緑が濃くてしっとりしているという感じ。
タクシーに乗り、たどり着いた場所は、赤土の広大な農園。パパイヤやバナナの木など、たくさんの植物があちこちに生えている。
そのオーナーのDavidは長年インドに住んでいたという目の奥がとても優しいおじさま。明朝早くに数週間の座禅のリトリートに行くから、君にはもう会えないけれど居たいだけいたらいいからねと、お部屋に花とフルーツを飾り待っていてくれた。もうそのファームのバナナとパパイヤの美味しさったら!目が丸くなるほど美味しくてこれはまた絶対に食べたい唯一のハワイの食べ物かも、、、、笑
そして滞在したコテージは、キッチン、バスタブ、洗濯機付きと、これまでの小屋に比べたらとってもラグジュアリー。最高に素敵で快適なのだが、なんと窓がなく360°網戸。ベッドルームも枕元全て網戸。シャワールームも。すごい解放感。
唯一真っ暗闇で揺れるバナナリーフの音や早朝から散歩する鶏か何かの音には多少びびったけれど、日本では味わえないフルオープンな感覚を堪能。人って受け入れて馴染んでしまえばなんとでもなるんだからつくづく面白い。
カウアイ島トリップで唯一予定していたヒンドゥテンプル参拝。予約者しか入れないはずの礼拝堂に何故か入れてもらえ、プージャの様子を全身で感じる。実家がお寺なので、お経や法要の雰囲気は馴染みがあるのだが、また違った雰囲気に最初は戸惑いながらも、分かろうとしない、全神経を集中させて感じる、それを意識した。そして、、、作法を教えてもらいながら灰を眉間(サードアイ)に付けた時、何かが込み上げてきて涙腺崩壊寸前。
その後、陽気なUberドライバーといろんな話をしながら、宿泊先から一番近いビーチへ行く。
そこでは何をするでもなくただ海を見る。蟹が穴から出たり引っ込んだりする様子を見て、子どもたちがいたら大喜びだろうなとか、絶対キャーキャーいって走り回ってびしょ濡れになるんだろうなとか。離れた家族を想ったり、そして今こうして1人味わっているこの景色の贅沢さに感動したり。
そんな思考はあったとは思うけれど、だんだんとクリアになっていく。
母でもなく、monkさんの奥さんでもなく、いちスタジオオーナーでもなく、女性でもなんでもなくなっていく。
気づくと私はただただ号泣していた。
その時の私は、カウアイヴァイブスの中、プージャと波でピッカピカに磨かれた石のようだと例えるとわかりやすいかもしれない。
40年生きてきて、いろんな色を塗り重ね、削ったりくっつけたりして私を創り、まあゴツゴツしていた自分自身が、生まれたてみたいに真っ新になった感覚。
今こうして言葉にしているけれど、その時はただ目から水が流れているだけ、言葉もない感情もない、母胎から出て呼吸するために泣く赤ちゃんと同じようだったと思う。
これまでが辛かったわけではない、現在の状況に一切不満もない。でも頑張っていた、3人の子供を育てること、そして善く生きようとすること。
だから本気で戻ってみたかったのかもしれない、何者でもない本当に無邪気な自分に。今ここに最大限focal pointを置くために。
日々、私がヨガをして瞑想するのもそういうことなんだろう。
そんなこんなでカウアイでも素晴らしい体験をした私。まさにspritual journeyだった。
最後にワイキキで、高層ビルとか、高級ブティックとか、さほど美味しくもないベーカリーに群がるスマホかざした日本人に混じるというオチのような the Hawaii体験もして帰国したのだけど、これもまた良き思い出。(それが悪いわけじゃないです、私がハワイを知らなかっただけ)
帰国して、あっという間に母に、娘に、monkさんの奥さんに、スタジオオーナーに、ガイドに、近所の子供たちのおばちゃんに戻り、毎日忙しく色んな役割をもらって日常を送っている。今日はこれとこれとこれとこれして、、、すっかりハワイでの緩やかな時間は過去のことになったけれど。
1ヶ月以上経つ今でも、ベースに揺るぎない太い一本のラインがあって、プラスにいってもマイナスにいってもすぐベースに戻ってこれるそんな感覚。目を閉じるとからりとした青空、風、太陽の光、星空、鳥の声、赤土、美しい雨粒、マントラ。
ハワイでの思い出は、これからももっと日常に溶けていってしまうのだろうけれど、溶け込んだ先、また続いていく自分の人生がどんな風に展開していくのかたまらなく楽しみ。
この肉体と心を使って、今を最大限味わい尽くしていこう。